Wi-Fiのススメ
皆さんこんにちは。
突然ですが、無線LAN(Wi-Fi)使ってますか?
「使ってないよ?」
「なにそれ?」
そんな人を見つけるほうが難しいくらい、普及していますよね。
スマホのデータ通信なんかは、外ではLTE、室内ではWi-Fiという使い分けをしますよね。
この無線LAN(Wi-Fi) の規格について、皆さんはどれくらいご存知でしょうか?
「規格なんてあるの?」
「IEEE~~~ってやつでしょ?」
「SSIDとパスワードで・・」
「ここWi-Fi飛んでんな」
毎日使っているけど、意外と詳しく知らない人も多いのでは?
無線LAN(Wi-Fi)は今や携帯電話に次ぐ、一番身近な無線技術かもしれません。
無線従事者を目指す方もそうでない方も、
本日のブログは皆様の役に立つ知識となるはずですよ。
ところで、無線LAN(Wi-Fi)という表記で気づいた方もいるかもしれませんが、
無線LANとWi-Fiって厳密にいえば違うんです。
無線LANとは、有線のLANではなく無線で接続するLANのことです。
無線LANってすごく大きなくくりであって、Wi-FIというのは無線LANの規格の一つなんです。
「・・・?」
意味が分からなくても大丈夫です!
今回のブログでWi-Fiについて、少しだけ一緒に勉強してみましょう。
それでは、始めましょう。
本日のブログは、「アナタの知らないWi-Fiの世界」です。
Wi-Fiの規格はとにかく分かりにくい!
無線LANとWi-Fiの違いについては、ひとまずおいておくとして、
まずは規格について整理してみましょう。
「えっ!? Wi-Fiに規格とかあるの??」
という皆様、ちゃんとありますよ。
気にしていないだけで、意外と目にしている機会も多いはず。
例えば、ご家庭のWi-Fiルーターなどで
IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax
という表記をみたことはありませんか?
近くにあればちょっと見てみてください。
携帯電話なんかも、説明書や仕様書には対応する規格が書いてありますよ。
ここ2~3年で購入された製品であれば、
IEEE 802.11a/b/g/n/ac/までは対応しているものがほとんどです。
ちなみに、下の写真は私が使用しているWi-Fiルーターです。
本体の裏面にこのように印字してありました。
それではまず、IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axという規格をそれぞれに分けてみましょう。
・IEEE 802.11a
・IEEE 802.11b
・IEEE 802.11g
・IEEE 802.11n
・IEEE 802.11ac
・IEEE 802.11ax
するとこのようになり、それぞれの末尾のアルファベットで規格を見極めることができます。
それぞれの規格では、使用する周波数帯や通信速度が違います。
下にいくほど新しい規格となり、通信の最大速度も速くなっていきます。
最新の規格はIEEE 802.11axです。
IEEEって何なのよー!
IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axが規格だということは分かって頂けたと思いますが、
始めてこの規格を目にした方にとっては、
「IEEEてどういう意味?」
「a/b/g/n・・・なんじゃこりゃ」
って感じですよね。
順にお答えしましょう。
ちなみに読み方は、
アイ・イー・イ・ー・イー ではないですよ!
アイ・トリプル・イーと読みます。
読み方は少しカッコEですよね。
IEEE(アイ・トリプル・イー、Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、
アメリカ合衆国にある電気・情報工学分野の学術研究団体(学会)、技術標準化機関です。
IEEEはあくまで規格を制定する一団体でしかありませんが、
策定した規格は、結果的に技術標準となることが多いようです。
つまり、IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axというのは、IEEEが定めたWi-Fiの歴代規格なんです。
なるほどなるほど。
知ってしまえばなんてことないんです。
ここまでは全然OKですよね!
ふ~
それにしても、EEEEEEEEばっかりで疲れますね。
コーヒーでも飲んで、ちょっと休憩しましょう。
「Wi-Fi Alliance」と「IEEE」
今日はせっかくなので、もう少し勉強してみましょう。
このようなマークを見たことありませんか?
あまり意識したことなんかはありませんよね。
私自身も、そういえばそんなマークあったかな?程度の認識です。
これらのマークはWi-Fi Allianceという業界団体の認証マークです。
「Wi-Fi Alliance・・・・」
「IEEEとは別の業界団体か・・・」
混乱しますよね。
でも大丈夫。
Wi-Fiについてはこの2つの団体を理解しておけば、まずはOKです。
それでは、Wi-Fi Allianceについて説明しましょう。
例えば、無線LANを製品に実装する場合、
違うメーカー同士だと同じ規格でも繋がらない事があると困りますよね。
Wi-Fi Allianceでは、そのようなことが起こらないようにするために、
認証テストに合格した製品ににWi-Fi認証マークを与えているのです。
つまり、Wi-Fi認証マークを取得した製品であれば、
Wi-Fiの互換性を保証されているということになります。
この認証マークがあるおかげで、
機器同士繋がるかどうか、やってみないとわからないという不安は解消されますよね。
「なるほど、分かったような、分からないような・・・」
「Wi-FiとIEEEとの違いってなんなの?」
「二つの団体の違いがよく分からないんだけど・・・?」
まだまだこのようにお感じではありませんか?
確かに、初めて聞いたばっかりだと分かりにくいですもんね。
両者の役割を分かりやすく整理してみるとこういうことです。
IEEE | 無線LAN の技術仕様を規格化 |
Wi-Fi Alliance | 認証試験に合格した製品にWi-Fi認証を与え、無線LANの相互接続を実現 |
こうすると分かりやすいですよね~!
それぞれの団体には違った役割がありますが、両者ともWi-Fiの普及を目的としています。
こういった団体があることを知るだけでも面白くなりますよね。
シンプルイズベスト!
ちなみに、
Wi-Fi Allianceは昨年、次世代WiFiの呼称を「WiFi 6」と命名しています。
「WiFi 6」とは、「IEEE 802.11ax」に準拠する規格の呼称です。
同じく、
「Wi-Fi 5」として、「IEEE 802.11ac」の規格
「Wi-Fi 4」として、「IEEE 802.11n」の規格
という呼称が命名されました。
呼称と規格は以下のようになります。
Wi-Fi Allianceの呼称 | IEEE規格名 |
IEEE 802.11a | |
IEEE 802.11b | |
IEEE 802.11g | |
Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac |
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax |
どうですか?
Wi-Fi Allianceの新しい命名ルールはスッキリして分かりやすいですね。
シンプルイズベスト! 私は好きです。
IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axは長すぎるし覚えにくい!
シンプルな呼称にしたのは理由があるようですね。
どうやら、Wi-Fi Allianceは呼称を変えることでパラダイムシフトを起こし、
Wi-Fiを今まで以上に広く利用を促進させようとしているようです。
そのためには、消費者にも分かりやすい「世代」として取り扱おうとしているのでしょう。
確かにそのほうが、普及もしやすいので戦略としてはGOODではないでしょうか。
シンプルなネーミングにWi-Fi Allianceの本気が感じられますね~
繰返しますが、何事もシンプルイズベストですよね!
ちなみにWi-Fi 1~3という呼称はありません。
a(1世代)→b(2世代)→g(3世代)→n(4世代)→ac(5世代)→ax(6世代)
ではないのかな?と推察できますが、そこは謎のまま。
世代といえば、最近の若い芸人さんたちが自分達のことを「お笑い第七世代」と言っていますが、
前世代まではどうなっているのでしょうね?
同じく気になるところです。
Wi-Fi 6の最大スピードは9.6G! まさしく次世代規格!
ちなみに規格ごとのスペックもチェックしてみましょう。
それぞれの規格名称と通信速度、周波数くらいは覚えておいて損はありませんよ。
といっても、わざわざ覚える必要まではありませんが。
ただ、日常生活でWi-Fiを使うシーンは本当に多いです。
ちょっとした時にこういう知識があると、
この機器はac対応でないからスピードが遅いのかな? とか、
5GHz 帯だと接続が途切れやすいな。
などの知識が自然と活きてきます。
デジタルネイティブの方はそういった感じで、生活の中で知識を蓄えているのでしょうね。
Wi-Fi Allianceの呼称 | IEEE規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz 帯 | |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz 帯 | |
IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz 帯 | |
Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz 帯 / 5GHz 帯 |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz 帯 |
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz 帯 / 5GHz 帯 |
では順にみていきましょう。
今更ですが、
Wi-Fi 4とWi-Fi 5では通信速度に大きな違いがありますね。
最大通信速度が600Mbps→6.9Gbpsと、大幅にUPしています。
私も当時、この速度差に魅力を感じIEEE 802.11ac対応のWi-Fi ルーターに買い替えました。
お使いのWiFiルーターを数年買い替えていない方は、機器の規格を確認してみてください。
Wi-Fi 4(IEEE 802.11a/b/g/n)までしか対応していない機器をご使用でしたら、
Wi-Fi 5(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)の対応製品に替えるとスピードアップも期待できますよ。
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)になると、最大通信速度が9.6Gbpsと10Gに迫っています。
最近では、固定の光回線で10Gbpsの商品もありますので、
機器を整えると、そういった回線のスピードの利点をそのまま享受できるかもしれませんね。
スピード以外の違いも見てみましょう。
Wi-Fi 6では、実はスループットよりも実効速度の向上にフォーカスしているようなんです。
例えば、「OFDMA」という技術です。
(やっと陸上特殊無線技士のブログっぽくなってきました)
OFDMAとは直交周波数分割多元接続といって、OFDMの特徴を生かして多元接続を行う技術です。
もうひとつは、「MU-MIMO」
Multi-user MIMOといって、複数の端末に対し、位相をずらして複数の信号を送る仕組みです。
Wi-Fi 5ではダウンリンクだけだったのが、Wi-Fi 6ではアップリンクも対応します。
こうした技術によってWi-Fi 6での実行速度は4倍の容量となります。
Wi-Fi 5では6.9Gだった最大通信速度が、
Wi-Fi 6だと9.6Gと、あまり向上していないように感じますが、
実行速度では目に見える変化を体感できるかもしれません。
新年早々に新たな規格が!(だけど、そりゃなEよ・・・!)
こうしたWi-Fiを取り巻く環境ですが、2020年1月3日に新たなニュースが発表されました。
Wi-Fi Allianceが新規格「Wi-Fi 6E」を発表
「Wi-Fi 6」に利用可能な周波数として6GHz帯を追加・・・・
へ~、もう新しい規格ができたんだ。
どれどれ・・・、えっ・・・6E !?
「Wi-Fi 6E」!?
そうですか・・・
せっかくの「Wi-Fi 6」に「E」を付けてしまったんですか・・・
・・・って、
なんで「E」を付けるんだー!
ここへきて、全然シンプルじゃないネーミング!
4.5.6はせっかく分かりやすいナンバリングだったのに。
ほんと、謎です・・・。
まあ、しかたありませんが、この発表(ネーミングに関しては)には正直ガッカリしました。
最新規格は6GHz帯を拡張した「Wi-Fi 6E」
気を取り直して、Wi-Fi 6Eの内容を確認してみましょう。
「Wi-Fi 6」に6GHz帯(5.925GHz~7.125GHz)を拡張させたものがWi-Fi 6Eです。
「Wi-Fi 6E」のEはExtended(拡張した)という意味です。
6GHz帯は、80MHz幅で14チャネル、160MHz幅で7チャネルが利用できるらしく、
通信量が多くなるため、混雑解消に一役買うようです。
たしかにWi-Fi の周波数も飽和状態だったし、
6GHzを使用することで高速スループットも見込めますもんね。
拡張現実(AR)や、仮想現実(VR)などへの活用も期待されているようです。
ポケモンGOがARを一躍有名にしましたが、ARもVRもまだまだ未知の可能性があります。
他にも、2020年に発売されるiPhone12は5GとWi-Fi 6Eに対応してくるのではないでしょうか。
これは楽しみになってきましたね。
いかがだったでしょうか?
今まで何気なく使っていたWi-Fiも、
知らなかった情報を知ることで、より身近なものに感じませんか?
それにしても、どんどん規格が新しくなるということは、
それだけ技術の革新がすごいスピードで進んでいるということですよね。
しっかりとついていかないと、時代の流れに取り残されちゃいます。
ひょっとすると、今回のブログの内容が
陸上特殊無線技士の講座に登場する日が来るかもしれませんしね。
その時は、みなさんもこう思うのではないでしょうか。
ああ、
「E」が邪魔だ!!・・・と。
(最新規格のWi-Fi 6Eも含めた下の表でおさらいしましょう)
Wi-Fi Allianceの呼称 | IEEE規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz 帯 | |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz 帯 | |
IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz 帯 | |
Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz 帯 / 5GHz 帯 |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz 帯 |
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz 帯 / 5GHz 帯 |
Wi-Fi 6E | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz 帯 / 5GHz 帯 / 6GHz 帯 |
【おまけ】ついでにLANケーブルの規格も知っておこう!
さて、ここまでこのブログを読んで下さった皆様。
ついでにLANケーブルの規格も知っておくと便利ですよ。
LANケーブルにもWi-Fi 同様に規格が存在します。
LANケーブルの規格は、カテゴリといって「CAT」と「数字(+アルファベット)」で表記されます。
IEEEと似ていますので覚えやすいですよ。
規格と速度だけみてみましょう。
カテゴリ(規格) | 最大通信速度 |
CAT5 | 100Mbps |
CAT5e | 1Gbps |
CAT6 | 1Gbps |
CAT6A/6e | 10Gbps |
CAT7 | 10Gbps |
CAT7A | 10Gbps |
CAT8 | 10Gbps |
ポイントはCAT6A/6e以上のケーブルの最大通信速(10Gbps)です。
いくらWi-Fi 6に対応した機器でも、LANケーブルの規格と合っていないものを使っていれば、
ボトルネックになってしまいますよね。
意外と見落としがちなポイントですので、通信環境を見直すときは注意してください。
これからの通信は10Gが標準の時代となります。
どうやら、NTT東西でも2020年4月から10Gの光回線の提供を開始するようです。
東京オリンピックや4K、8K放送のコンテンツなど高速回線の需要は高まるばかりですね。
最新技術と規格を知っておくことは、時代に取り残されないための手段になります。
このブログ記事をきっかけに、無線以外の通信技術にも見識を広げて頂けると幸いです。
今回のブログはいかがだったでしょうか。
一陸特、三陸特の受講をお考えの皆様からすると、当たり前の内容でしたか?
このブログを読んでくださった方が、少しでも役に立ったと思って頂ければ嬉しく思います。